遺産を分割は、
STEP1 相続人・・・誰が相続するか
STEP2 遺産・・・何を遺産分割協議するか(遺産分割の対象財産の範囲。その評価額)
STEP3 具体的相続分・・・それぞれどのような割合で相続するか
STEP4 具体的な分け方・・・どのように分けるか
を順々に決めていくステップでした。
遺産分割の流れについてはこちらの記事を参照ください。
この記事では、STEP3「具体的相続分」を決めるのに重要な「特別受益」について詳しく説明します。
特別受益(とくべつじゅえき)の基本
特別受益とは、簡単に言えば、多額の遺産を生前にもらったといえる相続人がいる場合に、その相続人は生前に遺産の前払いを受けたと考えて、そのせいで被相続人の死亡時の遺産が減ってしまった分を考慮しましょう、という制度です。

上の図をご覧ください。
例えば、亡くなった方の遺産は1億円の現金でしたが、亡くなる直前に妻に4000万円の贈与をしていたとします。
この場合に、妻はそれにより4000万円分の遺産の前払い(遺産の前渡し=特別受益)を受けたと考えると、遺産は、前渡しをした分を含めて考えると、1億4000万円だったと考えることも可能なわけです。
その場合、1億4000万円を法定相続分に従い2等分すると、妻も子も7000万円ずつとなります。
これを図にすると以下のとおりです(手書きで見にくくてごめんなさい・・・)。

その上で、妻は実際にはすでに生前贈与で4000万円はもらっているわけですから、妻が死亡時の遺産の1億の中からもらえるのは3000万円(7000万ー4000万=3000万)となる、というわけです。
これを図解すると以下のとおりです(またまた見にくくてごめんなさい・・・)。

このように、このケースでは、特別受益(生前贈与)の4000万円を考慮した結果、亡くなった時点での遺産である1億円の分け方としては、妻の具体的相続分は3000万円、子の具体的相続分は7000万円となる、というわけです。
なお、遺産の前渡し分をいったん遺産に合算して計算することを、「持ち戻し」と呼びます。
上の例では、妻に贈与されていた4000万円を「持ち戻し」て計算し、1億4000万円となったということです。
以上のような計算の仕方が、特別受益の基本です。

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