遺留分

遺留分侵害額請求権の時効について

みなさんこんにちは。

相続と不動産で困った時の一番最初の相談先、

相続と不動産のパーソナルアドバイザー、税理士 兼 弁護士の中澤剛です。

 

遺留分が侵害されている場合には、その遺留分権を行使したいと考えるでしょう。

しかし、遺留分権を行使するには時効があるので注意が必要です。

遺留分とは、遺言によっても侵すことができない遺産に対する相続人の最低限の取り分のことです。

遺言によって、遺産をもらえないこととされた相続人は、遺留分権を行使することで、最低限の取り分は確保できるのです。

遺留分の基本についてはこちらの記事をご覧ください。

遺留分侵害額請求権は1年で時効に

遺留分侵害額請求権は、相続の開始 & 遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知ったときから1年間行使しないときは、時効によって消滅するとされています(民法1048条)。

権利関係の早期の安定のために、1年という時効期間が設けられています。

遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知ったのがいつなのか、といった無用なトラブルを回避するためには、可能なかぎり、相続の開始から1年以内に行使することが望ましいです。

また、1年以内に行使したことを明確に証拠に残すためには、内容証明郵便を使うことが望ましいです。

期間内に行使したらどうなるのか

※以下は、1年以内に遺留分侵害額請求を行使しておけば不要のやや理論的な知識ではあるのですが、興味半分でお読みいただけると!

一般的には、時効にかかりそうな権利について、内容証明郵便を送って権利行使の意思を表示することは、法律上は「催告」と扱われます。(「催促」と同じような意味と思ってください)。

催告があると、その時から6か月を経過するまでの間は、時効は完成しません(民法150条)。

つまり、通常は、催告は6か月だけの猶予を得られるにすぎず、催告後6か月以内に訴訟を提起するなどして、時効の完成を阻止しなければ、時効によって消滅してしまうわけです。

そこで、遺留分侵害額請求についても、行使の意思表示をしてから(内容証明を送ってから)6か月以内に裁判を起こさなければ、時効によって消滅してしまうのかが気になるところです。

結論からいいますと、遺留分侵害額請求については、知ってから1年以内に行使の意思表示さえしておけば、6か月以内に裁判を起こさなくても、時効によって消滅するということはありません

この結論は、今般の相続法改正前の判例ですが、最高裁判所の昭和41年7月14日判決で示されています。

理由としては、遺留分侵害額請求権(当時は改正前なので遺留分減殺請求権)は、行使すればその瞬間に請求権そのものは消滅して別の権利に代わるものなので、遺留分侵害額請求権自体はもはや存在しなくなる以上、その消滅時効なんかあり得ないのだ、ということです(この理由付けは、最高裁の一歩手前の東京高裁の理由付けを分かりやすくしたものなのです)。

具体的には、遺留分侵害額請求権が行使されると、改正法の下では、具体的な金銭支払請求権が発生し、この具体的な金銭支払請求権は、民法166条1項1号により、5年間で時効消滅することになると考えられます。

契約の取り消しなどと同じに考えるとわかりやすい

分かりやすく考えるためには、契約の取り消しなどを考えるとわかりやすいです。

例えば、有名画家Aの絵だということでXさんがYさんから、100万円である絵を購入しました。ところが、その絵が実は偽物でした。そこで、Xは、詐欺だということで契約を取り消すこととしました。

この場合、まずは、「契約を取り消します」と相手に伝えます。

それによって、契約は取り消されます。

契約が取り消されると、先に払っていた100万円については、相手に支払っていた意味が消えるので、「100万円を返せ」という権利が発生します。

そこで、100万かえせ、と相手に要求していきます。

取り消しをするまでは契約は有効なので、返せという権利は発生しません。取り消した後で返せと要求することができるわけです。

「契約を取り消します」というのと、「100万円を返せ」という2ステップがあるわけです。

遺留分も同じです。

「遺留分侵害額請求をします」という最初のステップと、「その結果生じた金銭支払い請求権を行使します」という2ステップは、理論的には別物なのです。

遺留分侵害額請求は、行使することもできますが、行使しないことも自由です。行使しなければ、遺言に基づく法律関係が有効に存在したままです。遺留分侵害額請求権を行使して初めて、侵害額に相当する額の金銭債権が発生するわけです。

そして、「遺留分侵害額請求をします」という最初のステップ①をすることができるのは、相続の開始 & 遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知ったときから1年、という制限がありますが、

最初のステップをクリアすれば、「その結果生じた金銭支払い請求権を行使します」という2ステップ目については、1年の期間制限にはかからない、ということになるわけです。

行使はお早めに!!!

いずれにせよ、遺留分侵害額請求権を早めに行使しておかないと、遺留分侵害額請求をすることは不可能となってしまいます。

自分の遺産がもらえないような遺言があった場合、そしてそれでは納得がいかない場合には、急いで弁護士に相談して、遺留分侵害額請求をすることをお勧めします!

ABOUT ME
弁護士 中澤 剛
相続と不動産の法律と税金を専門に扱う千代田区内唯一の弁護士 兼 税理士。 相続紛争など、家族にまつわる紛争案件と紛争案件の経験を生かした紛争予防(相続紛争や認知症によるトラブルの生前対策、税金対策)が強み。 「幸せの土台は家族関係」という想いから、日本中に感謝と敬意のある家族関係が増えることを目指して活動中。 息子(10歳)&娘(7歳)の父。 2010年弁護士登録。2018年税理士登録。 東大法学部卒。東大ボート部出身。淡青税務法律事務所所長。 倫理法人会、中小企業家同友会所属。
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