養育費の強制執行

【支払日前に差押えできる!?】養育費の差押え【弁護士が解説します】

養育費は、一般に、子どもが成熟(18歳、20歳、大学卒業など)するまで支払う義務があるものです。

では、例えば、現在子が10歳だとして、「子が20歳になるまで、月5万円の養育費を支払え」、という内容の調停調書がある場合に、現在時点で(この例では、子が10歳の時点で)まだ発生していない今後の約10年分(5万円×12か月分×10年分=600万円)の差押えをすることが認められるのでしょうか?

この記事では、まだ支払期限が到来していない養育費の差押えについて、説明したいと思います。

養育費は、法律で手厚く保護されている

そもそもですが、養育費は、その重要性を考慮して、様々な面で法律的には非常に手厚く保護されています。(不払い・未払いも多く、手厚く保護されていると言われても、なかなか実感は持てないところかもしれませんが)

例えば、

  1.  給料の差押えの際には、通常の権利は手取りの4分の1までしか差押えできないが、養育費については手取りの2分の1まで*差押えできる。
  2.  相手方の勤務先が不明の場合に、財産開示手続を経た後に、勤務先の情報取得手続きを利用できる(通常の権利では、プライバシーの保護が優先されて、相手方の勤務先は分からない) ➡ その結果、判明した勤務先の給料の差押え等が可能となる。
  3.  相手方が破産すると、通常の権利は消えてしまう(免責されてしまう)が、養育費は相手方が破産しても消えない(破産後も支払いを求め続けることができる)
  4.  相手方が支払ってくれない場合には、通常の権利の場合は認められていない間接強制という方法を利用できる

などです。

*手取り額が66万円を超える場合には、33万円を超える額全額の差押えが可能です。

そのことを前提に、支払日が到来していない養育費の差押えについて、見て行きましょう。

結論 期限未到来の養育費であっても、差押えができます

さっそくの結論としては、まだ支払期限が到来していない養育費の差押えも可能です。

未払いがあるたびにいちいち新たに差押え手続をしなくてはならないとすると非常に面倒なので、このような規定が認められています。

ただし、無条件に差押えができるのではくて、相手方が養育費の支払に一部なりとも不履行があった場合に限られます。

また、差押えの対象となるのは、相手方の有する給料債権(などの継続的に支払われる債権)に限られます

また、将来の養育費については、支払期限が到来した後に支払われる給料からしか取立ができません。冒頭の例でいえば、残り10年分の未払いの養育費をいっぺんに取り立てることはできない、ということです。

具体例でみてみます。

たとえば、現在は5月10日、養育費の未払いがあるので、相手の給料の差押えをしました。

養育費の支払期限は毎月月末だとします。

5月末、6月末、7月末、8月末・・・と養育費の支払期限がやってきます。

他方、相手の給料は毎月25日払いだとします。

5月25日、6月25日、7月25日、8月25日・・・と給料の支払日もやってきます

この場合、5月25日に支払われる給料からは、今までの未払いの養育費は回収できますが*、それ以後に発生する養育費(5月末以後の養育費)は回収できません

*厳密には、5月10日に差押えをしたとしても、5月25日に支払われる給料の回収(取立)ができるわけではなく、取立が可能となるのは法的には6月分からになりますが、ここでは話を分かりやすくするために多少厳密さは捨象しています。

6月25日に支払われる給料からは、5月末に発生した養育費を回収できます。ただし、6月末以後に発生する養育費は、回収できません。

6月末に発生する養育費を回収できるのは、次の給料日である7月25日に支払われる給料からです。

 

このように、養育費の支払期限が到来した後に支払われる給料からの取立ができるのです。

1度だけの差押え手続で、将来の給料からの取立が可能なのですが、この制度の狙いとするところは、何度も差押えしなくちゃいけないという不便さ・煩雑さを解消しようという点です。

将来の10年分の養育費を今いきなり全額回収できるわけではない、という点には注意して頂きたいと思います。

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