裁判例

【養育費の算定】経費が多すぎる自営業者!こんなとき、養育費はどうなる?

今回は、確定申告書の所得金額が少なくて、経費が多すぎるのではないか!?というケースで、養育費の算定の際、確定申告書の所得金額をそのまま用いなければならないのか、についてお話しします。

養育費の算定に必要な所得の決め方【自営業者】

養育費の額を決めるにあたって、養育費の支払義務者が給与所得者の場合と異なり、養育費の支払義務者が自営業者の場合には、「所得」を基準に、養育費の額を決めていきます

自営業者の場合の養育費の算定表の見方については、こちらのリンクをご覧ください。

【養育費】新算定表の見方を弁護士がわかりやすく解説【3ステップ】

 

「所得」とは、「売上」ではなく、「売上」から「経費」を差し引いた残りをいいますです。

【所得のイメージ】

例えば、八百屋さんが、りんごを100円で売ったとします。売上は100円です。

このりんごの仕入れ代金は70円でした。八百屋さんの家賃が10円、人件費も10円だと仮定します。

この場合、、

「売上」100円から、仕入れ代金や他の経費合計90円を引いた残額である、

10円が所得

となるわけです。

養育費の算定の際に経費を確認

自営業者の場合、あってはならないことですが、ある程度経費を大きくすることは、自由に可能な面もあります。

飲み会などの際に、自営業者の人が、領収書をもらうようなことがありませんか?

あれは、飲み会の代金を、経費として扱ってしまっている、というわけです。

このように、経費を多めに計上により所得を減らして、税金を減らすような操作をしているのではないかと思われるようなケースがあるのです。

たとえば、売上が3000万円あるのに、諸々の経費が2950万かかり、所得は50万円しかない、というような確定申告をしているケースです。

「この経費はさすがに過大な経費ではないか!?」

そんなときでも、確定申告書の所得金額どおりの金額が認められてしまうのでしょうか。

相手方の確定申告書の所得金額は絶対なのか、争っても無駄なのか、これが今回のテーマです。

結論から申し上げますと、争う余地はあります

この点が問題になった審判例を見ていきましょう。

経費の裁判例【養育費の算定】

審判例を見てみましょう。

最初は、神戸家庭裁判所明石支部の平成19年の審判です。

この事案は、養育費の支払義務者(男性)が宝石の販売業者だったのですが、売上が894万円であるのに、各種経費が871万円(売上原価含む)で、所得はたった23万円、ここから社会保険料等を控除すると、課税所得は0円とされていたというケースでした。

このケースで、審判は、本人の支出の状況を勘案して、食費やマンションの家賃、保険料、医療費、たばこ代などで170万円は支出しているから、同額程度の収入があったと認定しました。

要するに、神戸家庭裁判所の審判では、確定申告書の課税所得がそのまま養育費の算定に使われたわけではない支出に見合った収入はあるはずだ、と認定されたことがポイントです。

もう一つ、平成21年の大阪高裁の決定を見てみましょう。

この事案は、婚姻費用の分担が問題となった事案です。

支払い義務者が建築業者で、確定申告書だと、売上が5837万円余り、各種経費(売上原価を含む)が5797万円、所得が40万円余という内容でした。

しかし、大阪高裁は、様々な事情を考慮して、年収は552万円余りはあると認めるべきであるとしました。

最後に、平成20年の大阪高裁の決定を見てみましょう。

この事案は、過去何年にもわたり、支払い義務者が、確定申告書の事業所得を大きく上回る額の婚姻費用の分担や住宅ローンの支払いをしていたという事案でした。

そのため、裁判所は、確定申告書の所得金額には疑いが残らざるを得ないとして、賃金センサスによって支払い義務者の年収を定めました。

このように、確定申告書が経費を過大に申告しているのではないかと思われるようなケースでは、確定申告書の所得金額がそのまま使われないケースもあります。

その場合にどの金額を用いるのかに正解は無く、あるい程度推測に寄らざるをえないわけですが、必ずしもいつもそのまま確定申告書の所得金額を用いるわけではないというのがポイントです。

あまりにも所得が少なすぎるのに、「確定申告書の所得金額だから仕方ない」と諦めるのは早い!ということだけでも覚えて頂ければと思います。

今回も読んでいただき、ありがとうございました!

 

 

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