養育費と調停

【自分でできる】養育費の調停を申し立てる方法を弁護士が解説

養育費の未払いがあるが相手が話し合いに応じてくれない。

弁護士費用はかけたくないから、自分で養育費の調停申立てにチャレンジしてみたい。

この記事では、そのような方のために、養育費の調停の申立てが自分でできるように、弁護士が、どこよりもわかりやすく解説します。

この記事を参考に、自分で調停の申立てをして、弁護士費用を節約しながらしっかりと養育費を払ってもらえるようにして頂けたら、とても嬉しいです。

※なお、この記事は、あくまでも「養育費」の調停という、比較的争点が複雑でない事件についての記事です。

「離婚」調停など、養育費以外にも多数の争点が生じ得る件については、弁護士のアドバイスを得つつ手続きを進めることを強くお勧めします。

・不払いがあるけれど公正証書は作れない、そんなとき、どうして養育費の調停を申し立てた方が良いのか?と思われる方には、こちらの記事をご覧ください。

【養育費の不払い】調停の申し立てを急ぐべき6つの理由

養育費の調停の申立てを行う際に抑えるべきこと

養育費の調停を自力で申し立てるためには、絶対に外せないのが裁判所のHPへのアクセスです。

ここでは、東京家庭裁判所のHPを例に解説します(他の都道府県で申し立てる場合には、その都道府県の裁判所のHPの書式に準拠してください。地方によっては書式が掲載されていない裁判所もあるようですが、その場合は、東京家庭裁判所のHPに記載の書式を利用すれば問題ありません)。

養育費調停申立てに必要な7つの書類

申立の際に必要な書類は、以下の7点です。

  1. 申立書3通 (裁判所用,相手方用,申立人の控え用で3通)
  2. 事情説明書1通(1通は調停の場合。審判の場合は2通)
  3. 連絡先等の届出書1通
  4. 進行に関する照会回答書1通
  5. 申立人の収入を明らかにする書面
  6. 過去に養育費についての合意をしている場合は、その書面
  7. 申立人と相手方、子(未成年者)の戸籍謄本(全部事項証明)  各1通 ・・※発行後3か月以内。申立人と子が同一戸籍の場合は2人で1通 

5,6は申立時には必須とはされていませんが、申立時に用意しておきましょう。

東京家庭裁判所の場合には、上記のHPに入り、ページの下にスクロールすると、ページの真ん中あたりに、

「子どもに関する調停の申立書」という見出しが見えてきます(下の画像の上部)。

その中の下の方に、「養育費請求調停」という項目があります(下の画像の赤枠参照)。

裁判所のHPから引用して赤枠加工

 

この赤枠の「養育費請求調停」の箇所に、手続きの説明や記載例に加えて、提出に必要な書類の書式が全て入っています。(子の戸籍謄本は、役所で取得します。後述します。)

また、「非開示の希望の申出書」はこの箇所ではなくて、同じページの最上部に書式があります(これも後述します)。

まず、申立書の書き方から説明します。

養育費調停の申立書を書く際の7つの注意点

申立書は、養育費の調停の申立てに際して、一番重要な書類です。

先ほどのリンク先の赤枠の中にある「申立書」と、その隣の「記載例」という2つのワードファイルをダウンロードしてください。 申立書の実物はこちら↓

裁判所HPから引用

 

「申立書」は、「記載例」を参考に、必要事項に記入していきましょう(パソコンがあると便利ですが、手書きでも構いません)。

調停・審判どちらかを選択

申立書の一番上に、「調停」「審判」いずれかをチェックする欄があります。

通常は審判を求めても調停に回されるだけで無意味ですので、「調停にチェックをしましょう。

「調停」は裁判所を介した相手方との話し合いです。

「審判」は、話し合いに関係なく、裁判所が一方的に養育費の額を決める手続きです。

養育費の請求に関しては法律上「審判」をいきなり求めるということも理屈上は可能です。

しかし、実務上は、審判を求めても、裁判所は「まずは話合ってください」と、「調停」手続きを先行させることが多いです。

要するに、審判を求めても、調停にされてしまいます。

(※ただし、相手方が遠方である場合には、管轄を考えて、審判を申し立てることもあります。下の「参考」をご覧ください)

相手方が遠方に居住している場合は「審判」の申立も視野に

養育費の「調停」を担当する裁判所は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所とされています。

他方で、養育費の「審判」を担当する裁判所は、子の住所地を管轄する家庭裁判所とされているので、結局子の面倒を見ている親の住所地を管轄する家庭裁判所となることが多いでしょう。

そうすると、相手方が遠方に住んでいるような場合には、調停を申し立てると、裁判所が遠方だと裁判所に行くのは交通費も時間も大変になってしまいかねません。

そこで、そのような負担を回避するという目的で、「審判」を申し立てるという戦略をとることがあります。

審判を申し立てたらどうなるか

審判を申立ても、通常は、「先に調停をしなさい」ということで、相手方の住所地の家庭裁判所に事件を送られてしまいます。

ただし、「調停にしようと思いますが申立人には意見ありますか?」と裁判所から意見を聞かれますので、ここでは、「調停は無意味なので早く審判をしてください、調停は、遠方ですしとても無理です。電話会議もしてもらえないでしょうし。」等と適宜の理由をつけて調停にすることに反対しましょう。

場合によっては、裁判所がその場所(=遠方の相手方ではなく、申立人の住所の管轄裁判所)で審判をしてくれることもあり得なくはないです。

それでも、裁判所が調停にすると決めてしまえば、それを争うことはできません。調停となり、遠方の裁判所で手続きをするほかなくなります(通常は、そのようにして調停になってしまうことが多いです)。

遠方の裁判所での調停になったらどうするか(自宅からの電話会議ができるか)

この場合には、電話会議などの活用などを申請して、わざわざ裁判所に行かなくても済むように遠方の調停裁判所に協議・申請するようにしましょう。

ただし、法律上は、通話相手が本人であることと通話者の場所との確認が必要とされています(家事事件手続規則42条1項)。

そして、その確認は通話者が代理人の弁護士である場合に、法律事務所で行うこととなっています。

そのため、残念ながら、通話者が本人である場合には、自宅からの電話会議システムの利用は予定されていません

とはいえ、本人確認のシステムを作ることができれば、代理人がいなくても電話会議も可能な筈です(法律上も、電話会議は代理人弁護士がいる場合に限る、等という規定はありません)。

代理人無しで自宅からの電話会議をしているケースも?

上記のとおり、電話会議システムの利用は予定されていないと述べました。

しかし、以下の画像は、インターネット上で見つけたものですが、旭川の家庭裁判所で、代理人がいない場合に電話会議システムの利用を認めているように読めるものがありました。

裁判体によっては、本人のみの電話会議もあり得るかもしれません。

裁判所HPから引用。画像をクリックするとリンク先に飛びます。

最寄りの裁判所で、電話・テレビ電話の利用もあり得る

自宅からの電話会議が無理でも、最寄の裁判所に赴いて、電話会議又はテレビ電話を利用することはあり得ます。

本人が裁判所に行けば、通話している場所も本人の確認もできるので、代理人がいない場合でも大丈夫、というわけです。

負担が大きいのであれば、弁護士の利用も視野に。

結局遠方になってしまった、という場合には、その段階からでも、弁護士の利用も視野に入れるのもアリかもしれません。

記名押印欄は認印でも可

申立人の記名押印欄の押印は、実印の必要があるかとよく聞かれますが、実印ではなくて認印で構いません

申立人の収入を証明する書面は前年度の源泉徴収票を記載

「申立人の収入を証明する書面」が必要とされる理由は、申立人の収入と相手方の収入をベースにして、養育費の額が決められるからです。

裁判所のHPには、「源泉徴収票写し,給与明細写し,確定申告書写し,非課税証明書写し等,申立人の収入が分かるもの」と記載がありますが、どれを用意すればよいのでしょうか。

申立人が給与所得者でれあれば、前年度の源泉徴収票が基本となります。

ただし、2020年のコロナ禍の影響で、2020年度は前年度より収入が大きく減りそうだ、前年度の源泉徴収票など当てにならない、という方もいらっしゃるかもしれません。

その場合には、給与明細をご用意ください。

給与明細については、(最終的には)調停・審判の成立時には少なくとも直近3か月分は提出を求められますが、申立の際には1か月分だけでも構いません。期日を重ねながら追加して提出しましょう。

*とりあえず源泉徴収票を提出して、期日の中で事情を説明して給与明細を提出する、という方法も可能です。

自営業者であれば、前年度の確定申告書が基本です。

住民税が課されていない方は、非課税証明書を用意します。

申立人・相手方の住所氏名を記載

申立人、相手方の住所、氏名、生年月日、年齢の欄を記入します。

通常はそのまま記載すれば良いのですが、DVの事案など、相手方に住所を知られたくない場合には、申立人の住所欄には、過去に相手方と同居していた際の住所など、相手方に知られても構わない住所を記入するようにしましょう。

DV事案で相手がこちらの住所を知らなくても養育費の請求ができるのか?についてはこちらの記事をご覧ください。

その上で、「連絡先等の届出書」と「非開示の希望に関する申出書」を提出します。「連絡先等の届出書」と「非開示の希望に関する申出書」については後述します。

申立の趣旨の欄を記載する

申立の趣旨というのは、その調停で申立人が何を求めているのか、求めていることの結論部分です。

記載例のとおり、記載すれば問題ありません。

申立の理由の欄を記載する

「同居・別居の時期」、「養育費の取り決めについて」、「支払いの状況」(「養育費の増額または減額を必要とする事情」(養育費の増減の調停を申し立てるのみ))について、指示に応じて記入していきます。

収入印紙は必ず貼る

収入印紙1200円分を買って、該当欄に貼っておきましょう。

※貼り忘れても、後から提出できるので問題ありませんが、最初から貼っておいた方が二度手間にならなくて済みます。

養育費の調停を申し立てる方法【4つの書き方】

事情説明書の書き方

次は、事情説明書です。実物はこちら↓

裁判所HPから引用

 

エクセル表をダウンロードして、次の項目を、素直に記載していきましょう。

  • 申立てをした「きっかけ」、「動機」
  • 調停・審判で対立すると思われること(申立人や相手方の収入の額か、子どもにかかる費用か、等)
  • それぞれの同居している家族の氏名・年齢・続柄、職業等
  • それぞれの収入状況(相手方について分からなければ、数字を入れず、「不明」で構いません)
  • それぞれの住居の状況(相手方について詳細が分からなければ、これも「不明」で構いません)

連絡先等の届出書の書き方

次は「連絡先等の届出書」です。実物はこちら↓

裁判所HPの同じリンク先から、連絡先の届出書をダウンロードして、必要事項を記入していきます。

・冒頭の事件番号(令和  年(家 )   号)の箇所は、申立時に提出する場合には空白のままで構いません。

それ以外、特に難しい箇所はないので、順に記載していきましょう。

注意点ですが、この「連絡先等の届出書」に記載する「送付場所」は、実際に書類が送付される場所です。

ですから、相手方に知らせても構わない住所を書いていた申立書と異なり、この書面には現実の住所を記載する必要があります。

現実の住所を相手方に知られたくない場合には、後に述べる「非開示の希望に関する申出書」を合わせて作成します。

進行に関する照会回答書の書き方

次は「進行に関する照会回答書」です。実物イメージはこちら↓

調停委員の方々が、どんな風に調停を進めていくのかを考える上で、非常に参考になる書類になりますので、各質問に素直に答えるようにしてください。

なお、相手と同席したくない場合には、

7項目目の「裁判所に配慮を求めることがあれば,その内容をお書きください。」の箇所に、

「相手方と接触する機会のないように配慮を求めます。理由は、~だからです」

等と希望を伝えておきましょう!

非開示の希望に関する申出書の書き方

DV事案等のケースで、住所等相手に知られたくない情報がある場合には、裁判所のHPの冒頭の箇所(下の画像の赤枠)にある「非開示の希望に関する申出書」をプリントアウトします。

※住所等を既に知られていて、知られても構わない、という場合は、「非開示の希望に関する申出書」は不要です。

裁判所のHPの冒頭の画像はこちら↓

裁判所のHPから引用(赤枠は引用者)

 

「申出書」という名称のワードファイルをプリントアウトします。

相手に知られたくない情報を書いた書面が複数ある場合には、その分だけ(複数枚)プリントアウトします。

実物はこちら↓

裁判所のHPから引用

 

・冒頭の事件番号(令和  年(家 )   号)の箇所は、申立時に提出する場合には空白のままで構いません。

・2のチェックマークをする箇所ですが、例えば、相手が住所を知ったらその住所に訪れて自分や子に危険を及ぼすかも知れないというような場合には、

□ 事件の関係人である未成年者の利益を害するおそれがある。

□ 当事者や第三者の私生活・業務の平穏を害するおそれがある。

という2箇所にチェックをしましょう。

その上で、左側2箇所の□の箇所に、ホッチキスで留めて提出します(下の画像)。

「非開示の希望に関する届出書」が上に、「連絡先等の届出書」が下になるようにして、ホッチキスで止めましょう。

 これで非開示の希望に関する申出書の準備も終わりです。

非開示の希望は、必ずしも認められるわけではありません。

また、裁判所のミスで、知られたくない情報を相手に送ってしまうという出来事がニュースになったこともありました。

ともあれ、非開示の希望の申出書は、非開示を希望する場合には必ず申出をしましょう。

以上で書類の作成は終了です。

あとは、その他の必要書類を収集して、一緒に提出すれば終了です!

養育費の調停に必要な他4つの書類

その他の必要書類は、以下の4つです。

  1. 申立人の収入を明らかにする書面
  2. 過去に養育費についての合意をしている場合は、その書面(作成していなければ不要)
  3. 申立人、子、相手方の戸籍謄本
  4. その他

順に見て行きます。

申立人の収入を明らかにする書面

申立人の収入を明らかにする書面については、申立書の作成の注意点3で述べた通りです。

裁判所用と相手方用に、コピーを合計2部提出します。

コピーの際の注意点

原寸サイズのまま(拡大はせずに)、A4サイズの紙にコピーします。

A4の紙は、他の書類と同様、縦長にしたときに読めるようにコピーします。

また、コピーの際に、紙の中央かやや右よりに印刷されるようにしましょう。

(裁判所では左側に穴を空けてファイリングします。そのため、印刷されたものが左側に寄りすぎると、読めなくなってしまいます。)

住所などを非開示にしたいという場合は、源泉徴収票等の書類の住所の箇所をマスキング(黒塗り)して提出します(黒塗りした箇所は、2部とも同じにします)。

養育費の過去の取り決めがわかる書類

例えば、審判書,判決書,調停調書、公正証書等があるときには、それも用意します。

これについても、裁判所用と相手方用に、コピーを合計2部提出します。

申立人、子、相手方の戸籍謄本

本籍地の役所で取得しましょう。

各1通取得し、原本を提出します。

申立人と子は同一戸籍のことが多いと思いますが、その場合は、二人まとめて1通になります。さらに相手方の戸籍を1通、合計2通になります。

発行後3か月以内のものである必要があります。

私立学校の学費に関する書類

私立学校の学費に関する書類なども用意しておきましょう(期日で指示された後でも構いません)。

こちらも、裁判所用と相手方用に、コピーを合計2部提出します。

養育費の調停の申立先

「調停」の申立ては、相手方の住所を管轄する家庭裁判所です。

*「審判」の場合は子の住所を管轄する家庭裁判所となります

相手の住所は、現在の居住場所です。基本的には住民票の記載の住所でOKです。

申立ては郵送でも受け付けています。

書類を準備したら、管轄の家庭裁判所に念のため電話をして(ググると電話番号が出てきます)、

「養育費の調停を考えていますが、相手方の住所は~なのですが、郵送先はそちらでよろしいでしょうか」と確認の上、郵送しましょう。

※支部が管轄であったりする場合があるため、事前確認はしておくべきです。

また、下で述べる切手代も同封しますが、切手代の額と枚数も、その管轄裁判所のHPに掲載されていない場合は、その裁判所に確認しておきましょう。

養育費の調停を申し立てに必要な費用

調停を申し立てるのに必要な費用は、以下の2点だけです。

  1. 収入印紙・・対象となる子(未成年者)1人につき1,200円
  2. 連絡用の郵便切手・・100円×2枚,84円×8枚,10円×14枚,1円×10枚(合計1,022円)

2点目の切手は、東京家裁の運用です。他の地方の家庭裁判所では、金額が異なる場合があります。

念のため問い合わせて確認しておきましょう。

養育費の支払いを求める調停は自分でできます

以上、養育費の支払を求める調停を自分で求めるための手続きを解説してきました。

多少面倒に感じられたかもしれませんが、できないことは無いです。

弁護士費用をためらって、養育費を求められないというのは悲しい事です。

この記事を読んでくださった方が、少しでも調停をしてみようと勇気を持って頂けたら嬉しく思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



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