養育費の強制執行

【養育費の回収】改正民事執行法の4つのポイント【不払い対策】

2020年4月に改正民事執行法が施行されました。

この改正民事執行法は、養育費をしっかりと回収するにあたり、大きな影響があると考えられます。

この記事では、改正民事執行法のうち、養育費の回収に影響を与える4つのポイントについて解説していきます。

民事執行法の改正ポイントを解説

民事執行法改正の最大のポイント

もしも今回の民事執行法の改正ポイントをたった一言で説明しなさい、と言われたら、ずばり、

相手の財産を見つけやすくなり、

相手方は養育費の支払い義務を逃れることが困難になった

という点に集約できます。

相手が自らの意思で養育費を支払ってくれない場合には、調停調書や公正証書といった債務名義を取得した上、相手の財産に対して強制執行をする必要があります。

強制執行とはそもそも何か、債務名義とは何か、強制執行の手続きはどういう流れで行われるのかについては、以下の記事を参照ください。

【養育費に基づく強制執行】強制執行までの3ステップを弁護士が解説

相手の財産に対して強制執行をするためには、相手方の財産を相当程度具体的に把握しなければなりません。この点は、民事執行法が改正されても今までと同様です。

たとえば、

  • 相手方のA銀行B支店の預金口座
  • 相手方のC県D市E1-2-3の土地
  • 相手方の勤務先であるF社に対する相手方の給料債権

といったような形で、具体的に特定する必要があります。

言い換えれば、

預貯金口座はどこの銀行のなんという支店にあるのか分からないと差押えはできませんし、

勤務先がどこか分からなければ、給料の差押えもできないということです。

このように、強制執行をするためには相手の財産を具体的に把握する必要がありますが、改正民事執行法で、相手の財産を見つけることが容易になりました。

以下では、その中身を、4つの重要ポイントに分けて解説していきます。

財産開示手続の強化(民事執行法改正)

ポイントの1つ目は、財産開示手続の強化です。

財産開示手続とは、その名の通り、

債務者(養育費の例で言えば、養育費の支払い義務を負う人)に、自らの財産を開示させる手続です。

財産開示手続の強化とは、具体的には、

財産開示手続を利用できる人が拡大され、

罰則が強化されたのです。

公正証書の重要性が向上

従前は、債務名義さえあれば財産開示手続を利用できたわけではなく、財産開示手続を利用できる人は、養育費についての調停調書を有する人などに限定されていました。

債務名義のうち公正証書などを有していても、財産開示手続を利用することはできなかったのです。

ところが、改正法は、財産開示手続の申立権者を拡大し、例えば養育費を取り決めた強制執行認諾文言付きの公正証書を有する人なども、利用可能となりました。

これにより、養育費を公正証書で取り決めていれば、財産開示手続を利用することができることとなりました。

財産開示手続の罰則強化

今までは、相手方が財産開示手続に出頭しなかったり、嘘を述べたりした場合でも、最大30万円の過料という非常に弱い罰則しかありませんでした。そのため、十分な効果を上げることができていないと言われていました。

ところが、改正法は、罰則を大幅に強化し、最大6か月の懲役刑を導入しました。

その結果、相手方が財産開示手続に出頭しなかったり、嘘を述べるといったようなことが困難となると考えられます。

養育費の不払いで罰則?懲役?

上で述べた通り、罰則が強化され、懲役刑が導入されたのは、あくまでも財産開示手続に対して出頭しなかったり、虚偽を述べた場合です。

そして、財産開示手続を利用できるのは、調停調書や判決、公正証書といった債務名義を取得している人に限られます。

繰り返しになりますが、強制執行とはそもそも何か、債務名義とは何か、強制執行の手続きはどういう流れで行われるのかについては、以下の記事を参照頂ければと思います。

【養育費に基づく強制執行】強制執行までの3ステップを弁護士が解説

養育費の不払いがあっても、債務名義を取得していない人は、まず債務名義を取得しなければ、財産開示手続に進むこともできないのです。

養育費の不払いがあるというだけで、直ちに罰則が科せられ、懲役刑となるかのような情報がSNSに出回ったことがあるようですが、若干正確ではないので注意してください。

預貯金等の把握が容易(民事執行法改正)

ポイントの2点目は、相手の預貯金などの金融資産の把握が容易になったということです。

債務名義を保有する者が裁判所に申立をすると、裁判所から金融機関に対して、相手の保有する金融資産の情報を開示するよう求めます。

金融機関は、その求めに応じて、相手の保有する金融資産を開示します。

どの金融機関に情報の開示を求めるかは申立てをする人(養育費の例で言えば、養育費の支払いを求める人)が、自ら選択する必要があります。

この手続きは、改正民事執行法で新設された「第三者からの情報取得手続」の一つです。

ここでいう「第三者」とは、3人目の登場人物である銀行等の金融機関のことです。

※一人目は債権者(養育費の支払いを求める人)、二人目は債務者(養育費の支払い義務のある人)です。

この手続きが設けられたことにより、相手の保有する金融機関の情報を入手することが容易になりました。

相手方の預貯金等の口座情報を入手できれば、それに対して、差押えをすることが可能となるのです。

不動産の把握が容易(民事執行法改正)

ポイントの3点目は、相手の土地や建物といった不動産情報の把握が容易になったということです。

債務名義を保有する者が裁判所に申立をすると、裁判所から法務局に対して、相手の保有する不動産の情報を開示するよう求めます。

法務局は、その求めに応じて、相手の保有する不動産情報を開示します。

この手続きもまた、改正民事執行法で新設された「第三者からの情報取得手続」の一つです。(ここでは、法務局が「第三者」となります)。

相手方の不動産の情報を入手できれば、それに対して、差押えをすることが可能となるのです。

なお、この手続きは現在はまだ利用できず、2021年4月頃をめどに利用が可能となる予定です。

勤務先の把握が容易(民事執行法改正)

ポイントの4点目は、養育費などの特に重要な権利を債務名義として保有している人は、相手の勤務先情報を把握することが認められるようになったことです。

具体的には、裁判所に申立をすると、裁判所から市町村や、厚生年金の取り扱い機関に対して、相手方の勤務先情報を問い合わせます。

これにより、相手方の勤務先を把握することが容易となりました。

相手方の勤務先の情報を入手できれば、相手方の勤務先に対する給料債権に対して、差押えをすることが可能となるのです。

改正民事執行法の施行により強制執行が成功しやすい

改正民事執行法の施行により、相手方の財産を見つけやすくなり、強制執行がうまくいく可能性が非常に高まりました。

今まで、強制執行はできないと諦めていた方も、これらの手続きを利用すれば、強制執行が成功する可能性が十分あります。

養育費をしっかりと払ってもらうために、改正民事執行法を活用していくことが大切です。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました!

着手金無料、成功報酬制で養育費回収をサポートいたします。

淡青税務法律事務所では、お子さまの未来のため、着手金無料完全成功報酬制の養育費回収サービスを始めました。

調停調書や公正証書などの債務名義をお持ちの方限定のサービスとなります。  
くわしくは養育費の回収代行サービスをご覧ください。