養育費と調停

【養育費の合意】公正証書や調停調書を作る場合の5個のポイントを弁護士が解説します!

養育費の公正証書や調停調書を作りたいけれど、どういう条項にすれば良いのかわからない。

やっぱりプロに依頼しないといけないのかもしれないけれど、お金が心配。

無料でわかりやすい公正証書や調停調書の作成のポイントが知りたい。

最近の法改正を踏まえた注意点が知りたい

そういった方に向けて、弁護士経験10年の著者がこの記事を作成しました。

*本記事は、離婚自体は済んでいて、これから養育費について相手方と合意したい、という人に向けての記事です。

*離婚自体が未了の方については、養育費以外にも様々な取り決めが必要となることが通常ですので、プロに依頼するのをオススメします!

既に公正証書や調停調書といった債務名義を作成済の方は、強制執行(養育費の差押え)を視野に入れることとなります。

そのような方は、こちらの記事をご覧ください ↓

【養育費の回収】改正民事執行法の4つのポイント【不払い対策】

【養育費の不払い対策】強制執行までの3ステップを弁護士が解説

また、「どうして公正証書や調停調書を作ると良いのかわからない」、「公正証書や調停調書を作成する重要性を理解したい」という方は、以下の記事をご覧ください。

養育費の合意をしたら公正証書を作成するべき5つの理由

【養育費の不払い】調停の申し立てを急ぐべき6つの理由

 

調停調書・公正証書作成の5つのポイント

調停調書や公正証書を作成する時、大事なポイントは、次の5つです。

  1. ポイントその1:「合意が先、記載条項は後」
  2. ポイントその2:「養育費」という言葉を必ず入れる
  3. ポイントその3:養育費をいつまでもらうのか、終期を「数字で」明記する。「成年まで」はアウト!
  4. ポイントその4:金額は、特殊事情がなければ、算定表をベースに。
  5. ポイントその5:公正証書については、必ず強制執行認諾文言を入れる

 

調停調書・公正証書の合意後に記載条項の作成

公正証書や調停調書は、あくまで、話合って合意したことを、書面に落とし込むものです。

話合いや合意が先、書面は後です。

話合いができていないのに、先に条項をどうこうと考えるのは間違いです。

まず、相手と話し合います。そして、合意をします。

それを、書面に落とし込みます。

ですから、大切なことは、まず、漏れなく大事なことを話し合うことです。

養育費で合意すべき3つの事項

養育費について話し合うべき事項を分類すると、大きく3つです。

  1. 基本的事項
  2. 事情変更があった場合
  3. 支払い確保

以下、順番に述べます。

養育費について合意するべき基本的な事項

  • 誰の養育費か(既に生まれている子か。認知した未出生の胎児か)。
  • 養育費はいつから払うのか。未払いの養育費があるとしたら、過去の未払いの養育費はどうするか
  • 何歳の何月まで払うのか
  • 誰について、いくら払うのか
  • 毎月1回払いか、毎月2回に分けて払うか、あるいは将来の分も含めて一括払いか
  • いつ払うか
  • どの口座に払うか(親の口座か、子の口座か)
  • ボーナス月の養育費の加算はあるか。
  • 加算するとすれば、何月か、加算額はいくらか。
  • 金額の段階的増加を定めるか

状況や事情の変化があった場合について

  • 子が高校や大学に進学したときは額を加算するか
  • 加算するとして、いくら加算するか。入学金や初年度の授業料はどうするか
  • あるいは、高校や大学に進学した時点で、改めて協議することとするか
  • 大学で留年した場合の授業料はどうするか
  • いずれか又は双方が再婚した場合、どうするか
  • 病気などの特別の費用が生じた時、どうするか

支払いの確保の方策

  • 誰かを養育費の支払の連帯保証人にするか
  • 連帯保証人にするとして、誰になってもらうか
  • 支払いが遅延した場合にどうするか(遅延損害金を定めるか、定めるとして、いくらにするか)

具体的な条項の言葉は?

以上を読んで、話し合いができたとして、具体的な条項はどうするんだ、と思われたかもしれませんが、基本的には、調停であれば調停委員会の方々が法的に有効な言葉にしてくださいます。

また、公正証書であれば、公証人の先生が、話し合いに基づいた言葉をベースに、妥当な表現に変えてくれます。

ただし、文言にミスがあるとせっかく作った調停調書や公正証書が無駄になりかねませんので、心配があれば、弁護士に事前に相談しておきましょう。

話合いを済ませて相談する場合、ゼロから条項を作るのに比べて費用もずっと安いです。

養育費で合意がないと公正証書は不可

公正証書は、相手と合意できていないと作成できません

相手との直接の話し合いで合意が見込めない場合は、第三者に入ってもらうことで、合意が可能となる場合があります。

そこで、直接の話合いで合意できない場合には、裁判所を介した話し合いである調停の申立てを考えましょう。

調停をしても話し合いがまとまらない場合、あるいは最初から調停は無駄だと思われる場合には、裁判官が強制的に養育費について定める「審判」という手続きを求めます。

どうしても合意できない場合は、最終的には「審判」で判断してもらうことになります。

養育費の文言は必要

条項化する際の2つ目の重要ポイントは、必ず、「養育費として」という言葉を入れることです。

調停調書や公正証書で、支払ってもらうお金の性質が「養育費」であることは必ず明示しなければなりません。

これを明示せずに、

単に「毎月●万円」などと規定してはいけません。

なぜか。

その理由は、「養育費」と明示されていないと、改正民事執行法において保護が弱まってしまうからです。

養育費は、子どもの未来のための大切なお金です。

法律は、そのように大切なお金を受け取る権利である養育費を強く保護しています。

しかし、「養育費」と明示されていないと、その強い保護が受けられなくなってしまうリスクがあります。

具体的には、「養育費」であれば、公正証書や調停調書が作られていれば、相手方の勤務先の情報を入手する手続きを利用できます

※改正民事執行法についてはこちら:【養育費の回収】改正民事執行法の4つのポイント【不払い対策】

勤務先の情報を入手できれば、万一不払いが起きたときに、勤務先に対する相手の給料を差し押さえることが可能となるのです。

このように、養育費には強い保護が与えられているのですが、「養育費」の記載が万一欠けてしまうと、この手続きが利用できなくなってしまうのです。

養育費をもらう権利は〇〇歳まで【具体的な記載例】

第3のポイントは、養育費を何歳までもらえるのかについては、終期の数字を明記することです。

言い換えると、

絶対にしてはいけないのが、「成人に達するまで」とか、「成年に達するまで」という条項にしてしまうことです。

なぜか。

その理由は、「成人」とか「成年」とかと記載されてしまうと、18歳なのか20歳なのか、未成熟の間であれば22歳までなのか、不明確になってしまうからです。

つまり、19歳の時点で養育費の未払いが生じた場合などに、養育費の支払を求めて強制執行することなどができなくなってしまいかねない、ということです。

あなたは、「成人」と聞いて、何歳をイメージしますか?

「20歳」と答える人が多いかもしれません。

しかし、民法の改正で、成人年齢が「18歳」になりました。

ですから、「成人」とは18歳のことだ、と思っている人もたくさんいます。

つまり、これから公正証書や調停調書を作成する方が、「成人に達するまで」と合意してしまうと、それが何歳までの合意かわからない、ということです。

よくわからない合意に基づいて、権利を実行することはできません。

この点については、法務省の発表:こちらにも以下のとおり記載があります。

「今後,新たに養育費に関する取決めをする場合には,「22歳に達した後の3月まで」といった形で,明確に支払期間の終期を定めることが望ましい」

今後ですが、大学進学率が向上している今日の社会状況や、上記の法務省の記載の例も「22歳に達した後の3月まで」とされていることからも、22歳に達した後の3月までを基本的な条項として支払い義務者と交渉していくべきです。

算定表を基本に養育費の金額を決定する

養育費の額については、特殊な事情が無ければ、基本的に算定表をベースにしましょう。

なぜか。

それは、算定表が一番の納得性のある指標だからです。

納得性があるから後日の紛争になりにくいですいし、算定表より多い額を合意できたとしても、無理がある金額であれば、どうせ長続きしません

公正証書の作成は強制執行認諾文言が必要

公正証書を作るときは、強制執行認諾文言を必ず入れます。

強制執行認諾文言の例:

「A(債務者)は前項の金銭債務を履行しない時は、直ちに強制執行に服する旨を陳述した」

万一この文言を入れ忘れたら、公正証書を作る意味は全くありません

強制執行認諾文言が無ければ、公正証書が債務名義にならないからです。

債務名義とは、強制執行をするために必要となる公的文書のことを言います。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

【養育費の不払い対策】強制執行までの3ステップを弁護士が解説

以上、養育費について合意の書面を公正証書や調停調書で作成する場合の5つのポイントでした!

話合うべきポイントの箇所を意識しながら、相手と話し合って頂ければと思います!

参考になれば幸いです!

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