みなさんこんにちは。
相続と不動産で困った時の一番最初の相談先、
相続と不動産のパーソナルアドバイザー、税理士 兼 弁護士の中澤剛です。
被相続人の債務(借金)は、通常は、法定相続分に応じて分割されます。
たとえば、相続人が子のABC3名であれば、被相続人の債務(借金)はABC3分の1ずつ負担することとなります。
亡くなった人の借金が900万円であれば、3人がそれぞれ300万円ずつの借金を負う、ということです。
しかし、遺言が残されていると、話が変わってくる場合があります。
たとえば、相続人3人のうちAが取り分をもらえず、BCが財産を2分の1ずつ相続するものとなっているような遺言が残されている場合を考えてみます。
この場合には、債権者との関係(対「外」的な関係)ではともかく、内部的な関係(相続人ABC3人の間での関係)では、債務はBC2名が2分の1ずつ負担することとなり、取り分の無い相続人Aは債務も負担しないこととなります。
「対外的」、「対内的」とはどういうことかと言いますと、取り分のない1名の相続人Aは、対「外」的には(銀行などの債権者との関係では)、法定相続分に応じて、ローンなどの債務について3分の1の支払義務があります。
(もし今銀行などの債権者が相続分の無い相続人Aに裁判を起こしたら、Aはローンなどの債務の3分の1について、支払義務がある、ということです)
しかし、先ほどの遺言では、その1名Aに取り分がなく、BCが2分の1ずつ相続するものとなっていますので、対「内」的には、つまりABC間では、Aには債務の負担割合がありません(細かいですが、最高裁平成21年3月24日の判決からの帰結です)。
そのため、仮にAが債務(例えば銀行にローン)の3分の1の支払いをした場合には、Aは、「自分はBCたちの分を代わりに立替払いしてあげただけだ」と言って、支払した額をBCに請求していく(求償といいます)ことができる、ということになります。
要するに、結局は債務(住宅ローンなど)はすべて、(たとえ一時的にはAが支払うことがあったとしても)最終的にはBCが負担しなくてはならなくなります。
*参考文献など
・最高裁平成21年3月24日判決
・北野俊光「『相続させる』旨の遺言(特性財産承継遺言)の実務上の問題点」遺言と遺留分第1巻遺言第3版217頁
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