みなさんこんにちは。
相続と不動産で困った時の一番最初の相談先、
相続と不動産のパーソナルアドバイザー、税理士 兼 弁護士の中澤剛です。
債務名義とは
債務名義(さいむめいぎ)とは、強制執行手続をするために必要となる、公的機関が作成した書類のことです。
どのようなものが債務名義として認められているのかについては、民事執行法という法律に規定されています。
典型的なものは、
- 訴訟の結果出される確定判決
- 裁判で調停が成立したときに作成される調停調書
- 裁判所を介して和解が成立したときに作成される和解調書
- 公証役場で作成される公正証書(正確には、執行認諾文言付公正証書)
等があります。
公的機関が作成したものでなければ債務名義にはならない
ポイントは、「公的機関が作成した」書類でなければ、債務名義としては認められない、という点です。
たとえば、養育費の支払いを認める内容の誓約書や契約書があったとしても、誰がどう見ても権利があることが明白な証拠となる書類があったとしても、それだけでは債務名義としては認められません。
明白な証拠があればそれだけで債務名義としても良い気がしますが、なぜそれだけでは債務名義とはならないのでしょうか。
債務名義があれば、例えば給料の差押えが可能となり、相手の勤務先に裁判所から差押え命令が届くことになります。相手は信用を失い、大打撃です。債務名義には、そのような極めて強力な効力が認められているのです。
そのように強力な効果が認められる文書を、個人が勝手に作るようなことができるとしたら、不公正・不適切な強制執行が横行しかねず、世の中はめちゃくちゃになってしまいます。
そこで、債務名義を個人が勝手に作成することはできず、債務名義が作成されるためには、公的機関(裁判所や公証役場)の直接的または間接的な関与が必要とされているわけです。
養育費の支払いを認めるメモなどは債務名義を作成するのに役立つ
とはいえ、「養育費の支払いを認める誓約書や契約書はあっても無意味なのか、こんなの捨てちゃえ」、などとは思わないでください。
そのような誓約書があることは、例えば訴訟や調停などの際に証拠として提出することで、有利な調停調書(=債務名義)を作成するための説得材料や証拠とすることが可能となります。
契約書についても同様で、契約書があれば、例えば勝訴判決(確定すれば確定判決)という債務名義になります。
つまり、誓約書や契約書その他の個人的にあるいは個人間で作成された書面は、それ自体は債務名義にはならないのですが、債務名義を作成する際の重要な証拠や根拠となり得る、ということなのです。
ですから、今後、債務名義を作成するために非常に重要な証拠や根拠となるので、大切に保存・保管するようにしてください。
もちろん、相手が「それを書いたのは俺じゃない」等と争ってくれば、最終的に判断するのは裁判所となります。裁判所がこちらの言い分を認めてくれて初めて、勝訴判決などという形で債務名義となる、というわけです。
このように、法律は、公的機関を間に介在させることにより、不公正に債務名義が作られてしまうことを極力防止しようとしているわけです。
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