みなさんこんにちは。
相続と不動産で困った時の一番最初の相談先、
相続と不動産のパーソナルアドバイザー、税理士 兼 弁護士の中澤剛です。
この記事では、離婚調停の申立てを、弁護士を利用せずに自分で行いたい場合に気を付けるべき点について、弁護士でもある中澤が説明します。
離婚紛争の全体像はこちらです。
ご自分で調停を申立てたいという場合には、この全体像をまず抑えておくことが非常に重要です。
離婚調停の概要
離婚調停は、離婚について本人同士で話合いがまとまらない場合や話合いができない場合等に、裁判所に本人たちの間に入ってもらうことで離婚の話し合いが進みやすくなるようにするために利用する手続きです。
(なお、離婚訴訟を提起するには、原則としてその前に離婚調停を経なければならないとされています。調停前置主義といいます。)
調停手続では,離婚そのものだけでなく,
- 離婚後の子どもの親権者を誰にするか
- 親権者とならない親と子との面会交流をどうするか
- 養育費
- 離婚に際しての財産分与や
- 年金分割の割合
- 慰謝料についてどうするか
といった問題も一緒に話し合うことができます。
※なお、婚姻費用について請求したい場合には、離婚調停の中で考慮される場合もありますが、全額が認められるわけではないので、婚姻費用について求める場合には、離婚調停とは別途、婚姻費用分担請求の調停を申立てる必要があります。
裁判所のリンクが大事
「こちらの裁判所のリンクを読んで申立てをしてください。以上。」
(家庭裁判所HPのリンクより)
で説明が終わってしまうくらい、離婚調停の申立てをするに際して、裁判所HPの説明は重要です。
しっかりと裁判所のHPを読んで、申立てをしましょう。
どの裁判所に申し立てるのか・・・管轄裁判所
管轄裁判所とは、その事件の離婚調停を扱う裁判所のことです。
たとえば、その事件で離婚調停をするのは、東京家庭裁判所ですか、それとも名古屋の家庭裁判所ですか、ということです。
この点については、
相手方の住所地の家庭裁判所
又は
当事者が合意で定める家庭裁判所
とされています。
離婚調停は、相手と合意が無い限りは、自分が住んでいる場所ではなくて、相手の住んでいる場所の家庭裁判所に申し立てなくてはいけない、ということです。
管轄裁判所について迷ったら、「市区町村 離婚調停 管轄裁判所」で検索しましょう。
相手方が岡山県新見市に住んでいる場合の管轄裁判所
たとえば、相手方が岡山県新見市に住んでいるときは、検索エンジンで、
「新見市 離婚調停 管轄裁判所」と検索します。
そうすると、岡山県の裁判所のホームページが出てきますので、裁判所のホームページを開きましょう。
管轄区域表のサイトを開くと、次のような画面になりますので、該当する「新見市」を探しましょう。
この画面をスクロールして、新見市を探していくと……
ありました!
新見市については、「地方・家庭裁判所」の中に「支部」があり、
「岡山地方・家庭裁判所新見支部」があることがわかります。
このように支部がある場合には、裁判所のルール上、その支部が管轄裁判所となります。
よって、離婚調停の申立ては、「岡山家庭裁判所新見支部」に申し立てる必要があるというわけです。
提出書類など
離婚調停の提出書類は、以下のとおりです。
1 申立書及びその写し1通
※申立書の作成方法については、後ほど説明します。
2 標準的な添付書類
- 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)(内縁関係に関する申立ての場合は不要)
- 各争点ごとに必要な書類・資料
- 委任状(弁護士に依頼する場合には必要)
※各争点ごとに必要な書類・資料については、こちらのリンクを参考にしてください。
3 収入印紙 1200円
4 切手
裁判所ごとに違う場合があるので裁判所に電話で確認(orHPで確認)します。
申立書の作成方法
申立書のひな形も裁判所のHPに置いてあります。
※このリンクは東京家庭裁判所のものですが、全国どこの家庭裁判所でも使えます。
リンクを開くと、このような画面になります。
この画面を下にスクロールすると、
「夫婦関係や男女関係に関する調停の申立書」
という項目が出てきます。
その中の、「夫婦関係調整調停(離婚)」の「申立書」というワードファイルを開きます。
下の画像のとおりです。
この申立書を開くと、下のようなワードファイルが出てきます。
この申立書に、管轄裁判所、書類作成日、添付書類、申立人の情報、相手方の情報、子の情報など、形式的な箇所を記入していきます。
記入の際には、裁判所HPにある「記載例」を参考にしながら、記載していきましょう。
ワードファイルが無い方は、印刷(プリントアウト)して、手書きで書いても構いません。
申立書作成時の注意点
申立書の2ページ目には、
「申立ての趣旨」と「申立ての理由」を書く欄があります。
「申立ての趣旨」というのは、この離婚調停で申立てをする人が結論として求めることです。要するに離婚してどうなりたいのか?を書きます。
ここで記載する内容は要求の上限と扱われる危険があります。
例えば、慰謝料として50万円求める、と記載すれば、相手は要求は50万円かと思うわけです。その後に、やっぱり100万円を求める、という変更は理論上は可能ですが、そのような変更をすると調停がまとまる可能性は大きく下がるので、金額に迷いがあるときは、「相当額」の欄にチェックをするようにしましょう。
「申立ての理由」は、なぜ離婚を求めるのか、という理由です。
この欄は、過不足なく記載するようにしましょう。
相手と言い分が食い違うときに、この調停申立書の「申立ての理由」に記載が漏れていると、「調停の時はそんなことは言っていなかった」と反論されるリスクがあります。そのため、離婚したい理由や言い分があれば、しっかりと記入することが大切です。
逆に、根も葉もないことを記入すれば、相手を無用に刺激してしまい、円満な調停の成立は難しくなってしまいます。
したがって、「申立ての理由」の欄は、過不足なく記載することが重要です。
他の書類の作成方法
申立書以外、以下の各書類も作成します。
- 連絡先等の届出書
- 事情説明書
- 子についての事情説明書
- 進行に関する照会回答書
①~④についても、裁判所の記載例を参考にして、記載してください。
①については、相手に住所を知られたくない場合など、裁判所の記載例を参考にしてください。
事情説明書(②)や子についての事情説明書(③)を作成する際のポイントは、申立書の2ページ目の「申立ての理由」の箇所で述べたことと同じです。「過不足なく」記載するようにしましょう、ということです。
提出
作成が終わったら、管轄裁判所に持参して、受付を探して提出しましょう!
提出場所が分からない場合は、「離婚調停の申立てをしたいのですが受付はどちらですか?」と聞いてみてください。
郵送でも構いませんが、持参すると、受付の人が、不備などを色々指摘してくれますので便利です。
相続と不動産で困った時の一番初めの相談先
弁護士・税理士・宅地建物取引士 中澤 剛
平日9:30~17:00受付
03-5521-0355