みなさんこんにちは。
相続と不動産で困った時の一番最初の相談先、
相続と不動産のパーソナルアドバイザー、税理士 兼 弁護士の中澤剛です。
資産家の人の養子となった方が、資産家の方を殺害し、その後離縁の申立てをしたのではないか、というニュースが流れてきました。
この記事では、養子や離縁、養親の殺害の法的な意味について解説したいと思います。
養子縁組の効果
養子になると、養親の嫡出子としての身分を取得します。
要するに、養親の子になるのと同じです。
子は親の相続人ですので、当然養子は養親の法定相続人となります。
そして、その日から、養親と養親の血族との間に、血族間におけるのと同一の親族関係が生じます。
養子となると、養親の血族との間で親族になるので、例えば、相続関係が養親の血族との間で生じることもありますし、養親の親族を扶養する義務が生じたりすることもあるわけです(民法877条以下)。
離縁の効果
離縁というのは、養子縁組の解消のことです。
養親が亡くなれば、養親子関係は当然に消滅します。
したがって、今回のニュースのケースでは、養親の死亡に伴い、当然に親子関係は消滅しているわけです。
しかし、養親の血族との間の血族関係は残ります。
これを解消する制度が、死後離縁という制度です(民法811条6項)。
今回のニュースの方は、死後離縁をしようとしたということのようです。
死後離縁すれば、先ほど述べた扶養の権利義務は消滅します。
また、養親の血族との間での相続関係も消滅します。
資産家本人の財産が目当てで、資産家の親族との関係は面倒だという場合には、死後離縁して関係を断ち切るのが便利だと考えることも有り得るかもしれません。
なお、ニュースでは、「死後離縁で遺産を独占しようとした可能性がある」とされていました。
死後離縁したとしても、資産家の相続人が相続人としての資格を失うわけではないので、死後離縁することで、相続手続き上、資産家の遺産を独占することはできません。その意味では、このニュースの一文は不正確であると思われます。
扶養義務から解放されたり、あるいは、養子の死後に遺産が養親の親族に相続されてしまわないようにした、ということであれば理解は可能ですが、そのような意味かもしれません
養親の殺害の意味
ところで、養子が養親を殺害して、養親の遺産を相続することができるのでしょうか。
法的には、「欠格」という制度のために、親を殺した子は相続人としては認められないこととなります。
民法891条を見てみましょう。
(相続人の欠格事由) 第891条 次に掲げる者は、相続人となることができない。
このように、わざと(故意に)被相続人を死亡するに至らせた者は、相続人となることができません。
「刑に処せられた者」であることから、有罪判決が確定している場合です。まだ逮捕されたにすぎない段階では、無罪の推定の原則もあることから、欠格にはあたりません(誤認逮捕もあり得ます!)。
有罪判決が確定した段階で、犯罪行為の時にさかのぼって、欠格の効果が当然に生じることとなります。つまり、有罪判決が確定した段階で、当然に相続人としての資格を失うこととなります。
すでに遺産を受け取っている場合には、その遺産の相続は無効ですから、遺族に返還しなければならないことととなります。
まとめ
今回のニュースを例に、民法を考えてみました。
養子縁組して相続権を得ても、養親の殺害など、もってのほか!
相続する権利だって認められません!
言うまでもない当たり前の話でした!!!
ただし、ニュースについては、無罪の推定もありますし、部外者である私はなんとも言えません!あくまで一般論です。
お読みいただきありがとうございました。
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